2025年の起業トレンドは、単なる「小商い」ではなく、テクノロジーと個人の専門性を組み合わせたスケーラブルなマイクロビジネスへシフトしています。注目される分野は以下の通りです:
AI・自動化活用型: 生成AIやRPA、ノーコード開発ツールを活用して、初期投資を最小化しながら高度なサービスを提供するビジネス。個人がこれまで大企業に依存していた機能(デザイン、文章作成、データ分析)を自動化ツール補助で内製化できるようになりました。
サステナビリティ・体験型: リサイクル商品、環境配慮型サービス、イベント企画や地域体験サービスなど、単なる商品販売ではなく「価値観」を購買対象とするビジネスが成長しています。
デジタル商品・サブスク: オンラインコース、ニュースレター、SaaS型ツール、デジタルテンプレートなど、一度の開発で無限に供給できる商品が個人起業家にとって理想的な選択肢となっています。
越境EC・インバウンド対応: グローバル市場を視野に入れたECビジネスや訪日外国人向けサービスは、円安メリットもあり急速に拡大しています。
実際に資本金ゼロから事業を立ち上げ、スケールさせた事例も増加しています:
専業主婦からベビーシッター事業へ:資格不要で開始でき、スキマ時間を活用したビジネス化に成功。
副業Webライターが本業化:当初は月数万円の副業から開始し、1年で本業移行を実現。
Instagramインフルエンサー化:文房具の豆知識を無料で発信し、3万フォロワーを獲得。その後アフィリエイトとPR案件でマネタイズ。
これらの事例から見える共通パターンは、小さく始める → 継続的に価値提供 → 信用構築 → マネタイズという段階的な成長です。
2024年度のネットショッピング利用世帯割合は56.9%に達し、月平均支出額は24,928円(前年比名目+8.3%)でしたが、2025年10月時点では前年比+10.8%へ加速しています。特筆すべきは、この成長を牽引しているのが体験型消費であることです。旅行関係費やチケット販売は従来のモノ消費を上回る勢いで伸びており、2025年1~3月の国内旅行消費額は5兆6,483億円(前年比+15.5%)を記録しています。
消費者のオンライン購買は、使用デバイスによって全く異なるカスタマージャーニーを描きます:
モバイル利用者(全トラフィックの73%) は徹底的に「比較・調査フェーズ」にいます。複数サイトでの価格比較、レビュー確認、スクリーンショット保存などを長時間にわたって行いますが、最終購買に至る比率は低いです。
デスクトップ利用者(27%) は逆に購買意欲が高く、セッション時間は短いながら購買額は40%高い傾向を示しています。つまり、既に購買を決定した状態でデスクトップにアクセスしている可能性が高いのです。
この違いはマーケティング戦略に大きな示唆を与えます。認知・比較段階ではモバイル向けのコンテンツ充実が必須であり、購買確定段階ではデスクトップの決済体験を最適化することが重要です。
世代別の購買パターンと最適なマーケティングアプローチ
各世代の消費行動は大きく異なり、それぞれに最適なマーケティング手法が存在します:
消費心理の構造的変化:節約志向とハイブリッド商品の台頭
物価上昇が続く中、消費者の心理は大きく変わっています。約8割が月1回以上オンラインショッピングを利用する一方で、約4割が「セール/クーポン活用」「より安い商品探索」を日常的に実践しており、ただ購買するのではなく「賢く購買する」という意識が定着しています。
同時に注目されるのがハイブリッド商品(複数機能を備えた商品)への需要で、前年比+27%の成長を記録しています。消費者は「1つのもので複数の役割を果たす商品」に高い価値を感じるようになり、ラグジュアリー中古品の検索も前年比+61%と急増しています。
もう一つの重要な変化は認証性(Authenticity)の重視です。顧客が撮影した素人の商品動画はプロの広告よりも3.2倍高い購買転換率を持ちます。一方で、あいまいなサステナビリティ主張(「環境配慮」と書くだけで具体性がない)には41%のユーザーが離脱してカートを放棄します。
グローバルのクリエイターエコノミーは、2025年の$202.56 Billionから2032年には$848.13 Billionへ到達する見通しです(CAGR 22.7%)。
この成長を牽引するのはアジア太平洋地域で、CAGR 20%超の急速な成長が予測されています。200万人以上のアクティブコンテンツクリエイターが存在し、短動画プラットフォーム(TikTok、YouTube Shorts)の普及と相まって、個人が直接消費者とつながる構図が加速しています。
インフルエンサーマーケティング市場は2025年に$32.55 Billionに達しており、CAGR 33.11%の高い成長率を維持しています。マーケターの80%が「インフルエンサーマーケティングは有効」と評価する一方で、ROIへの重視は急速に高まっており、73%のブランドがマイクロ・ミッド層インフルエンサーを優先しています。
理由は明確です。大手インフルエンサー(セレブ)とのコラボレーションは高額投資が必要である一方で、ナノインフルエンサー(フォロワー1万未満)による協業が全体の75.9%を占めており、エンゲージメント・コスト比で遥かに優れているからです。
海外では既にソロプレナー(1人起業家)による6~7桁ドル(年間60万~700万ドル)ビジネスが標準化しています。成功パターンは以下の通りです:
成功の鍵は、Lighthouse Clients(緊急で高額な問題を持つターゲット顧客)を特定し、彼らの「高チケット案件」を獲得することです。初期段階では有料パイロットプログラム($5,000~$20,000)で実績を作り、その後クライアント証言やケーススタディを資産化していくという段階的な成長パスが標準化しています。
2025年の日本のSNSマーケティング状況は、予想外の変化を見せています:
最も活用されているプラットフォーム(優先度順):
YouTube:61.2%(最多)- 長尺コンテンツ・SEOでの強さ
LINE:54.1% - 直接顧客接点・クーポン配信の有効性
Instagram:47.8% - ビジュアルコンテンツ・ショッピング機能
X(Twitter):44.2% - リアルタイム情報発信・トレンド把握
TikTok:現在の活用は限定的だが、今後注力プラットフォームとして39.1%が関心を示している
特に注目は、これまでトレンドとされた「TikTokが最先端」という仮説が日本市場では必ずしも成立しておらず、むしろYouTubeが圧倒的に優位にあることです。この理由は、日本市場の特性(検索利用率が高い、長尺コンテンツ消費が多い)と、YouTubeの広告・アナリティクス・マネタイズ機能の充実にあります。
TikTokは今後伸びの余地が大きく、特にGen Z層の獲得に必須となるプラットフォームです。同プラットフォームの国内ユーザー数は3,300万人に達しており、2025年6月に日本での「TikTok Shop」がサービス開始されたことで、ショッピング機能が強化されました。
2025年のSNSマーケティング予算配分は、堅実な現状維持路線を示しています:
54.1% が2024年と同等の予算を維持
25.5% が予算増加を予定
10.2% が予算縮小を検討
しかし、約70%の企業が「SNSマーケティングの重要性が上昇する」と予測しており、以下の理由が考えられます:
実際、ソーシャルリスニングの導入状況は、既導入企業が25.5%、2025年内実施予定が46.5%で、合計72%に達しており、企業のSNS活用が「発信」から「聴取&分析」へシフトしていることが分かります。
北米市場(米国・カナダ):
Facebook Shopsが月間250万人以上のエンゲージメントを獲得
Instagram Checkoutでシームレスな購買フローを実現
消費者の58%がSNS上で発見した商品を購買した経験を持つ
アジア太平洋地域:
消費カテゴリの傾向:
グローバルベースでは、衣料・アパレルが全ソーシャルコマース購買の18%(最多)を占め、次いで消費電子機器の13%となっています。
従来はアジア独特の現象とされていたライブストリーミングコマースが、欧米でも急速に主流化しています。米国では2023年の$50 Billionから2026年には$68 Billionへ成長すると予測され、TikTok Live、Amazon Live、YouTubeでのライブ配信ショッピングが定着しつつあります。
2025年現在、個人起業家のAI活用は理論から実装段階へ移行しています:
コンテンツクリエイターの事例:
ノースキルの会社員がAIとnoteを活用し、月間12,000PVのコンテンツメディアを構築し、その後オンライン受託事業とスモールビジネスを立ち上げた。生成AIを使った記事作成と構成最適化により、スピード重視のコンテンツ生産が可能になった。
フリーランスデザイナーの事例:
初期デザイン案作成にAIを活用することで、クライアントに提示する案数を2~3案から10案以上へ拡大。クライアントはより多くの選択肢から好みを選べるようになり、その結果月間案件数は2倍に増加し、単価も20%アップしました。
デザイナーの心理的な抵抗(AIに仕事を奪われるのではないか)は完全に払拭され、むしろ「AIは下準備を担当し、自分はより創造的な部分に集中できる」という理解が浸透しています。
キャリアコーチの事例:
パーソナライズドコーチングプログラムの作成にAIを活用。クライアント情報をAIに入力すると、最適なコーチングプラン案が生成され、コーチ自身がそれを自分の専門知識でカスタマイズする。工数削減と品質維持の両立を実現。
個人ビジネス従事者がDXやAI導入を検討する際、大手企業の失敗事例から学ぶことは極めて重要です。
フォードはシリコンバレーに子会社「Ford Smart Mobility」を設立してDXを推進しましたが、本社の製造部門との連携が不十分となり、数億ドル規模の損失を計上しました。
個人ビジネスへの示唆: 外部ツール(SaaS、自動化プラットフォーム)の導入時に、既存業務プロセスとの連携を後付けするのではなく、事前に全体最適を検討することが重要です。
ある旅行会社は最先端の映像技術やオンライン配信環境に投資してバーチャル観光サービスを立ち上げましたが、顧客ニーズの調査や市場分析が不十分だったため、利用者数が伸び悩みました。
個人ビジネスへの示唆: 「技術があるから使おう」という発想ではなく、「顧客の問題解決に必要か」という視点が不可欠です。
ある企業がAIチャットボットを導入しましたが、以下の課題により、むしろカスタマーサポートコストが増加しました:
学習データ不足:複雑な質問や専門的な問い合わせに対応できず
顧客ニーズの軽視:「よくある質問」への回答のみで、実際の困りごとに対応不可
運用体制の欠如:AIが対応できない場合にスムーズに有人対応へ切り替わらず、顧客がたらい回しに
個人ビジネスへの示唆: AIツール導入の目的は「自動化」ではなく「顧客満足度向上」です。導入前に「どの問い合わせの何%を自動化できるか」を検証し、限定的な範囲から始めることが重要です。
グローバルの労働市場は2025年に大きな転換点を迎えています。2020年に20%だった遠隔勤務率は、2025年には48%の労働力が何らかの形でリモートワークを実施しており、ほぼ半数に到達しました。
米国に限定しても32.6M人(全労働力の22%)がリモート勤務しており、これは職業の種類や地域によらず拡大傾向を示しています。
重要な点は、リモート勤務が全職業で等しく定着しているわけではないということです:
技術セクター:67%が完全または主にリモート勤務
専門職・コンサルティング:高い柔軟性
製造・建設業:物理的制約でリモート不可
これは個人起業家にとって大きな機会を意味します。地理的な制約を持たない職種(コンサルティング、デザイン、プログラミング、マーケティング)の需要が、遠隔勤務の浸透に伴って指数関数的に拡大しているのです。
北米・ヨーロッパの民間企業成長と個人ビジネスの関連性
興味深いデータとして、EU・UK企業がこの時期に米国企業を上回るEBITDA成長を達成しています。2024年1~9月の中央値EBITDA成長率は、EU/UKが+9.6%であるのに対し米国は+5.5%です。この理由の一つは、ヨーロッパでのスモールビジネス・ソロプレナーへのサポート体制が充実していることと、人件費削減圧力の下で小規模で高効率な外部パートナー(個人ビジネス従事者)への発注が増加していることが考えられます。
Web3領域は2024~2025年に「投機」から「実用化」へシフトしました。現在3,000超のWeb3スタートアップが活動中であり、年28%以上の高成長を遂行しています。
特に注目されるのは、投機的な仮想通貨取引ではなく、実世界の問題解決を目指すプロジェクトへの投資が集中していることです:
ビットコイン採掘・インフラ
トークン化と資産管理
DeFi(分散金融)機能
2025年の最大のトレンドは、Web3とAIの融合(Web3×AI)による新しいビジネスモデルの出現です:
クリエイティブ産業における応用:
NFTアート:AI生成アート×NFT化による個別最適化が可能に
音楽:SoundMintなど、AIで生成した楽曲をNFT化して販売
ドキュメント自動生成:ChainDocsのようなサービスで、契約書・提案書を自動生成
ビジネス適用の実践例:
DAOの合意形成支援、NFT生成AIプロジェクト、ブロックチェーン上でのスマートコントラクト活用がすでに実装段階にあります。2023年の生成AI市場は1億ユーザー突破し、同年のWeb3関連投資も前年比30%増加するなど、両技術の統合は確実に進行中です。
個人ビジネス従事者の顧客は、月5~10万円規模の副業収入を求めている層が多数派です。標準的なビジネスコンサル(月額10~30万円)より低い価格帯で、スケーラブルなソリューション(オンラインコース、テンプレート、ツール提供)を組み合わせたハイブリッド型の提供モデルが有効です。
自身がAIツールを熟練して使い、その具体的な実装事例を持つことが、説得力のあるコンサルティングの根拠になります。デザイナーの事例のように「月間案件数2倍、単価+20%」という定量的な成果を示せるコンサルタントは、市場で著しく高い評価を受けます。
TikTokの成長、ショート動画プラットフォームの台頭、ライブコマースの普及を考えると、YouTube + Instagram + TikTokの3層構造がコンテンツマーケティング戦略の標準になります。特にGen Z層を対象にするビジネスではTikTok無視は もはや不可能です。
ソーシャルコマースが全eコマース売上の8.8%~17%を占める規模に成長した現在、「SNS=ブランディングチャネル」という古い認識は廃棄が必要です。直接販売機能を統合したSNS戦略の構築が、コンサルティング価値を高める重要な要素になります。
5. 消費者のmulti-platformジャーニー理解
単一プラットフォーム施策ではなく、モバイルでの「調査・比較」→ デスクトップでの「購買」というクロスデバイスジャーニーの最適化が必須です。また、世代別の購買心理の大きな違いを理解し、クライアント企業のターゲット層に合わせたカスタマイズが重要です。
2025年のWebマーケティング・ビジネス環境は、個人の専門性とテクノロジーの結合によって、かつてない規模の経済機会を生み出しています。日本の副業市場は月5万円の実績から月10万円以上への伸長機会を持ち、グローバルのクリエイターエコノミーは年間22.7%で成長し続けています。
コンサルタントにとって最大の機会は、これら個人ビジネス従事者が直面する「実績と理想のギャップ(日本で約2倍)」を埋めることにあります。AI活用、SNS戦略の多層化、ソーシャルコマース対応、そしてWeb3×AIなどの新興技術に対する実装レベルの知見を持つコンサルタントは、この急速に拡大する市場で著しく高い需要を享受することができるでしょう。